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オーディオ買取についてのコラム | これが無ければオーディオは始まらない。スピーカーとその中古買取について

オーディオ買取についてのコラム | これが無ければオーディオは始まらない。スピーカーとその中古買取について

これが無ければオーディオは始まらない。スピーカーとその中古買取について

2023/11/29

 

オーディオ、というより音楽再生において無ければそもそも始まらないのがスピーカー、中古買取でも盛んに取引される品物です。

現代においては非常に多種多様なメーカーから個人レベルの製作者に至るまで、様々な大きさ、方式、素材、構成等々バリエーションに溢れ、一体どれが良いのか、何が良いのか、なぜこんなにも多種多様なのか、検討する際には非常に迷ってしまうことも多いでしょう。
また中古買取の際には、遺品としてとても大きなスピーカーが残されてしまい、果たしてこれは買い取ってもらえるものなのかと問い合わせに困ったり、また小型だから大したものではないと勘違いしてしまい高価な筈のモデルを適当に廃棄してしまったり、などなどの問題が起こることもあります。

スピーカー、と言えば『音が出る丸い部分が付いている四角い箱』と分かっている方は多いと思いますが、実際はどんなもので、どんな風に安価なものと高価なものが違うのかなど、その実態については詳しく無い方の方が、これだけ音楽鑑賞という文化が幅広く広まった今でも多いのではないでしょうか。
今回はそんな日常にあって当たり前のオーディオ機器、スピーカーについて掘り下げていきましょう。

 

スピーカーの構成とその仕組み

一般的にも、オーディオの世界でも、『スピーカー』、という名称で通じているのですが、実はこれは何とも曖昧な名称だったりします。英語ではLoudspeakerという名称がより正式なものになるのですが、これでもまだ曖昧。何故か?それはスピーカーと指した時に、『音が出る丸い部分そのもの』を指す場合と『それらが搭載されている箱の部分まで全部含めたもの』を指す場合があるためです。ただし、日本の中で言うなら殆どの場合で箱型丸ごとを指す方が多いので、まず食い違うことは無いと思います。ちなみにこの場合の正式名称は『スピーカーシステム』です。

では次にざっくりとしたスピーカーシステムの構造を見ていきましょう。
こちらは弊社のテスト用の一つ。全く高価なものでは無いですが最もシンプルな形として丁度いいので例にさせていただきます。


まず、これで言うと黒い大枠となる箱の部分、これをエンクロージャーと言います。enclosure直訳は囲い、という意味で、時折レコードプレーヤーの箱型部分でも使う呼び名ですが、その場合スピーカーエンクロージャーと言えば間違いなく伝わるでしょう。
役割としては音の出る円形の凹んだ部分、スピーカーユニットまたはドライバーユニットと呼ばれる部分を音を発する向きに固定し支えるのが主ですが、そこからさらにユニットから出る音の振動を箱の外に発するだけでなく、内部へ出ていく振動を箱の中で共鳴させることによってユニットそのものの性能からさらに聴こえる音の特性や、設置された部屋内での響き方を調整する役割があります。それについては、後程他の例も交えながらご説明します。

そして肝心な音の出るスピーカーユニット部分。先程からさらっと名称を出していますが、ドライバーユニットとも呼ばれ、『ユニット』もしくは『ドライバー』と呼ばれることの方が国内では多いかと思います。ただし『ドライバー』という名称の方はコンプレッションドライバーなどのやや特殊なものを呼ぶ時に使うことが比較的多い印象で、大抵は音が出る部分の直径と合わせて、『〇〇cmユニット』などと呼ばれることが多いと思います。

では一旦この部分がどうやって音を出しているのか見ていきましょう。
一般的なスピーカーユニットのざっくりとした断面図はこんな感じです。
各ユニットは裏側の何処かにケーブルを繋いで電気信号を受け取るプラス・マイナスで指定された電極があり、そこからユニットの根元の円筒形部分の中にあるコイルに繋がっていきます。受けた電気信号からコイルによって磁力が発生し、同じくユニットに設置されている磁石と引き付け・反発しあうことにより、入れられた音源の電気信号が物理的な動きになります。そうして動くコイルに連動して動くのが円錐形、外側から見たら凹んだ形に見えるコーンとセンターキャップからなる振動板です。この部分で前面の空気を押し引きすることにより実際に音の振動として空気中に発していくのです。
この振動板の部分は古くから一般的な素材は紙であり、その場合よく『コーン紙』とよく呼ばれます。しかし現在では振動板の素材も様々なバリエーションが増え、合成樹脂、金属、カーボン、ケブラー繊維、薄く削り出した木そのもの…などなど、各スピーカーメーカーの理念・手法によって選ばれ、様々な音のキャラクターを生み出す一つの要素となっています。

先程の例の簡易スピーカーに戻り、今度は裏面を見ていきましょう。
裏面には、パワーアンプから出力された信号が伝わる、スピーカーケーブルを接続する端子があります。これをターミナルと呼びます。ちなみにパワーアンプの出力端子もスピーカーターミナルと呼びます。ここにスピーカーケーブルから信号が入っていき、内部でユニットとケーブルで繋がれています。

ここまででエンクロージャー本体に付けられた構成の基本的な形ですが、スピーカーにはこれにさらに殆どについている付属品があります。
それが、ユニットの部分を保護するサランネットです。この簡易スピーカーは金属ネットのものが付いていますが、どちらかと言えば布製のものが一般的かと思われます。これが付属していないものも時折存在しますが、ユニットの振動板部分が凹んだり壊れたりしてしまうと正しく本来の性能通り音を発せなくなってしまう、加えてほこりなどが付着してしまうのから保護する機能も兼ねて大半のスピーカーシステムには付属しています。

以上が一番基本的なスピーカーの構成です。ですが、現代においては簡易的なオーディオ製品や、一部の専門的な製品を除いて、これだけのシンプルな構成だけのスピーカーはあまり見かけません。多くの製品はこの基本的な構成を元に、様々なスピーカーシステムにおける理論や、各メーカーの技術やアイディアによってさらに応用されたものであることが多いです。

逆に、このままでは何がいけないのでしょうか。確かに、電気信号を元に振動板が動かされ、理想的な振動をしてくれればそれで済むのかもしれません。しかし、現実の物理的な面で言えば、その振動板自体に振動しやすい周波数、しにくい周波数といった材質の特性がある上に、実際振動している中での慣性、振動板を固定しているゴムのエッジの弾性、さらに反作用で振動が伝わってしまうエンクロージャーの共振やエンクロージャー内部の空気圧…などなど沢山の要素が絡み合い、これだけの構成で幅広い周波数が混ざりあい、ランダムに振動させられる音楽というものを再現しきるのは難しいものです。
特にスピーカーユニット部分の特性に依存してくるわけですが、ヴァイオリンやピアノなど、物理的に音を発する楽器があった時にその楽器の材質や発音方法の違いによって、他の楽器と全く同じ音を出すことが出来ないのと同じようなイメージと考えていただければ分かりやすいのではないでしょうか。
ではどうするのか。楽器の例で行くなら、音楽の世界では様々な楽器を使って何人もで演奏することで、幅広い音楽を生み出してきました。ならばスピーカーも同じです。
ユニットごとに得意な周波数が違うのであれば、それらを組み合わせてお互いに補い合おう、という考え方で生まれたのが、マルチウェイスピーカーです。一般的にはそのユニットの系統数を使って『〇Wayスピーカー』と呼ばれることが多く、大体の製品が2~3、多いものでは4,5Way程度のものもあります。


再び弊社の備品から実例を見ていきましょう。こちらは弊社オフィスのレコードチェック・BGM再生に使われているYAMAHAのモニタースピーカー、NS-10MX。
一昔前までは制作スタジオや、個人の音楽制作の場で定番だったスピーカーです。ちなみに制作用のスピーカーは『モニタースピーカー』という名称が使われることが多くあります。基本的に音楽を再生するためのスピーカーであることは同じですが、リスニング用は正確でありながらも如何に音楽を心地よく再生するか、ということに重点が置かれることに対し、モニタースピーカーはどちらかと言えば鑑賞というよりも、編集作業を通してその音源自体をブラッシュアップしていくために良いところは勿論修正すべき点も正確に聞き取れるようなものでなくてはなりません。勿論世の中の一般的なスピーカーで聴いたときに素晴らしい音源となるよう編集するため、さほどかけ離れた特性ではありませんが、正確であるがゆえに、比較する対象によってはやや淡白な音の印象、正確過ぎる固さのあるような音に調整されているものもあるのが大まかな印象です。

さて、脱線から戻すとこのNS-10MXはマルチウェイスピーカーとしては2Wayのスピーカー。低域のユニットと高域のユニットへ内部のネットワークという回路部分を通して信号を分けて送り片側につき2箇所、左右合わせたら4箇所から音を発する構成になっています。

そのとき、まず高域用の口径の小さいユニットは『ツイーター』と呼ばれます。周波数の高いシャリシャリと聞こえる音、ギターやピアノ、太鼓などの音の鳴り始めの輪郭の部分や歌声の息遣い、シンバルの音等に相当する音域を発することに特化しています。
それに対し低域用は先程と同じく18㎝ユニット、もしくは低域に特化したユニットは『ウーファー』と呼ばれることもあります。このNS-10MXのウーファー部分も白い紙で振動板部分が構成されています。

こんな風に高域はツイーター、低域はウーファーと役割分担することで一つのユニットの特性では出しきれない音域の広さで音源を再生することができます。

しかしそれだけでは問題になる部分もあります。それが『定位』という概念です。
ステレオの音源というのは右で再生される音源と左で再生される音源の2つで構成されています。そうすることによって音楽の中でどの楽器が右から左の何処で鳴っているのか、聴感上の配置を作り出すことが出来、さらに編集の仕方によっては中央の音は勿論、その前後の奥行き感やスピーカーの置いてある位置からさらに広がって聞こえるような音源に仕上げることも出来ます。そのどの音がどの位置から聴こえるように感じるかが定位、もしくはそれが正確かどうかを俗に『定位感』などと呼ぶこともあります。
マルチウェイスピーカーを設計する時、本来別の位置から鳴らすものではない高域と低域を分けて設計する場合、精巧にその位置や角度、ユニットそれぞれの特性を考慮しないと定位が崩れてしまう場合があります。無論計算しつくされ、素晴らしい音の像を作り出すマルチウェイスピーカーも数多く存在しますが、世の中にはまた違ったアプローチからこの問題を解決しようとしているスピーカーもあります。

こちらは三つ目の弊社サンプル、TANNOY社製T165 CHESTER。一見すると大きなユニット一つしか付いていないような見た目のスピーカーです。しかし、こちらはれっきとしたマルチウェイ、2Wayのスピーカーとなっています。
では低域はぱっと見で分かる部分として、高域のツイーターはどこにあるのでしょうか。


答えは真ん中のネット素材になっているセンターキャップのさらにその奥、ウーファー部分と中心が同じになる位置にツイーターが一体化された一つのユニットとなっています。こういった形のユニットを同軸ユニット、それが使われたスピーカーを『同軸スピーカー』と呼びます。こうすることで、低域と高域が同じ位置から発せられ、より定位感が安定します。
しかし同軸型が必ずしもセパレート型の上位互換、というわけでもなく、より細かい観点でいくとそれぞれメリット・デメリットか存在するため、どちらを選択するのかはこれまた各メーカーの理念に基づくところであり、TANNOYはその中で同軸スピーカーのブランドとして代表格の一つです。

そして、このスピーカーでもう一つご紹介したいのがこの部分。

エンクロージャーにこのように穴のような、内側から伸びたダクトのような部分があるスピーカーを、見たことがある方は多いのではないでしょうか。近年ではパソコン用の小型のスピーカーなどにも似たような穴が付けられていることがあります。
これは、オーディオの世界では『バスレフ』と呼ばれる用途の穴です。Bass Reflexが略されてカタカナ英語になったものがバスレフ、という言葉なのですが、その名の通りエンクロージャーの中でウーファーユニットの裏側から発せられた音を反響(Reflection)させてこの穴から出力することで、低音(Bass)をより増強し、スピーカーシステム全体でより低い音域まで出せる特性にする、といった物理的な理論に基づいた構造の一つです。
管楽器などで長く、太い楽器程低い音域の楽器になることをイメージしていただくと、何となく理解しやすいのではないでしょうか。これを使うと、マルチウェイではなく1対のユニットで構成する際も、ユニット自体の特性よりも低域の特性を伸ばすことができるため、そういったシンプルな構成のスピーカーも多く存在します。

ちなみにひとつ前のNS-10MXではそういった穴は無く、完全に閉じた形のエンクロージャーとなっています。これを密閉型と呼ぶのですが、この構造もまたバスレフ型とではそれぞれのメリット・デメリット、さらには設計によって特性が変わってくるため各社個性のでてくる部分にもなっています。

そして最後に、スピーカーの分類としてもう一つ、パッシブスピーカーアクティブスピーカーがあります。
パッシブスピーカーとは、ここまで見てきた例のような、アンプから出たスピーカーレベルの信号を受け取って出力する、スピーカーケーブルを接続するだけのスピーカーシステムを指します。
それに対して、近年ではコンセントからの電源供給が必要なスピーカーを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
これらを大まかに括るとアクティブスピーカーと呼ばれる分類になり、スマートスピーカーや、Bluetoothスピーカーなどもざっくりこの分類の亜種と言えるでしょう。

パッシブスピーカーは再生機器から来た微弱な信号を、コントロールアンプで調節や変換がされながら、パワーアンプに入力されることでスピーカーのユニットを物理的に振動させるだけの大きな信号まで増幅される、という流れは、以前アンプについてご説明した際に述べました。
それに対しアクティブスピーカーは、簡単に言うとパワーアンプがスピーカーのエンクロージャーに内蔵された商品です。そのためアンプ部分の電源を必要とし、接続部分も通常のターミナルではなく、そもそも入力する信号がスピーカー信号ではなくライン信号になるため、ライン信号でよく使われるRCAやXLR、TS、TRSなどのプラグが差し込めるようになっている商品が殆どです。
アクティブスピーカーはリスニング用の製品も近年着実に増えて来てはいますが、元々はどちらかと言えば制作側の方がモニタースピーカーとしてオーディオインターフェースなどから直接挿して使用することが多かったため、音楽制作にいそしむ方の中では『モニタースピーカ≒アクティブスピーカー』と認識されていることも多いです。しかし、パッシブスピーカーがモニタースピーカーに使えない訳ではなく、また逆も然りの為、こういったあたりは用途と現状持っている機材の構成によって選ばれていく部分です。

このように、オーディオの最終段であり、実際の音に変換するための最重要機材であるスピーカーは様々な構造や手法があり、その発展によって今日までに非常に幅広いラインナップが生産されてきたのです。

 

実際に中古買取で高価なスピーカーとは

 

ここまでは構造の実例として紹介してきましたが、次に実際に過去の在庫で高額であったモデルをいくつかご紹介させていただきます。

まず初めにご紹介させていただくのが、Rogers社のLS3/5aというこちらのスピーカー。
大きさとしては幅20㎝弱、高さ30㎝程と、卓上にも置けるサイズの、俗に『ブックシェルフ型』と称されるサイズのスピーカーです。オーディオを全く知らない方がぱっと見ても、古いセットコンポに付いているようなスピーカーとあまり違いが分からず、外見も古いからと捨てられてしまうこともあるかもしれません。
しかしお待ちください。このLS3/5aというスピーカー、イギリスの公共放送局BBCがオーディオメーカーと共同で開発したれっきとした放送局用モニタースピーカーなのです。

LS3/5aは最早1社だけの型番ではなく、KEF、Spendor、Harbeth、Chartwell、Audio Master、RAM、Goodmans、Richard Allen、Stirling Broadcast等々、多数のメーカーから発売されている、いわば共通規格のようなものとなっています。そして基本的にBBCからライセンス認可を与えられて生産されているため、品質も保証され、中古品は勿論、現行で生産されているものも高い人気を誇ります。

そのうち一番メーカーとして有名なのがRogersですが、弊社に入ってきたのはなんとその中でも最初期から2番目、各スペックの仕様とロゴのプレートから『黒バッジ』と呼ばれている希少なモデルです。1975年から1999年まで生産されていたうち、初期のシリアル3000~10000番あたりのモデルにこの黒バッジが付けられているようで、国内外問わず同じRogersのLS3/5aの中でも人気のあるモデルです。


構造としては、フェルトツイーターバリアと呼ばれる特徴的な四角いフェルトに囲まれたツイーターと、ベクストレンという黒い合成樹脂の振動板の10㎝ウーファーの2Way方式。こういったユニットや、背面の接続端子、数値的なスペックの部分などが同じRogersのLS3/5aの規格の中でも年代によって細かな違いがあり、それによって人気や買取価格も異なってきます。
ちなみにこの商品を買い取らせていただく際、お客様の元にはこれ以外にも4つのバージョンのLS3/5a、合計で5ペアも収集していらっしゃったことからこのスピーカーの熱心なファンであったことが感じ取れました。音の好みによってはそのくらい虜になるスピーカーです。

続いては同じくイギリスのBowers & Wilkins社のスピーカー。
高級オーディオを常日頃チェックされている方々であれば、B&Wの名前を知らないものは以内といっていいくらい、現代においてはハイエンドスピーカーの代表格として国内でも人気のメーカーです。

先日入荷したこちらは1998年発売のNautilus 803というモデル。
高さ1m強の縦長のスピーカーですが、こういった形状のスピーカーは『トールボーイ型』と称されます。
まず目を引くのが丸みを帯びたエンクロージャーの上に固定された、細長いスポイトのような形状の物体。
この部分は高域を発するツイーターとなっています。

何故こんな特徴的な形状をしているのかというと、この形状こそがB&Wの独自技術なのです。

巻貝のような形のこちらのスピーカー。これがNautilusという先程のスピーカーの元ネタ、というよりB&Wの理念が詰め込まれたスピーカーです。
どうしてこんな形状をしているのか。先程エンクロージャーの内部ではユニットの後ろ側から出た音が内部で反響するという説明をさせていただきましたが、これがユニットの振動にも影響し、またエンクロージャー自体の共鳴でも音に余分な成分が付加されてしまいます。それに対しB&Wはユニットの後方から出た音を打ち消すような構造としてこのチューブ状の構造を発明しNautilusを開発、さらに各モデルのツイーターやミッドレンジユニットにも採用。そのためNautilus 803もNautilusの理論に基づいたツイーターが搭載されているため、このような形状をしています。


このNautilus 803はセパレート型の3Wayとなっており、先程紹介したツイーター、黄色いケブラー繊維製の振動板のミッドレンジユニット、紙製のコーンとケブラー繊維のドーム複合のウーファー2発の構成です。ケブラー繊維は軍事製品にも使用されるような引っ張りに以上に強い繊維で、防弾チョッキにも使用されるほど力の分散にも優れているため、振動させたときの変形や無駄な振動の残留が無いことから当時振動板の素材として最適であるとしたようです。

そしてウーファーの下にはバスレフ用の穴があります。内部の反響を利用して低音を取り出すわけですが、この曲線のエンクロージャーの構造により音の流れが内部でスムーズになると同時に、内部構造も拘り抜かれて作られており、可能な限りエンクロージャーの共振が無くなるように設計されています。


裏側のターミナルはこのように2対付いていて、写真の様にジャンパー線で繋ぐと上か下のターミナルどちらか1対にスピーカーケーブルを繋ぐだけで音が出ますが、ジャンパー線が無い状態では上側がツイーターとミッドレンジユニットが鳴る回路、下側がウーファーのみが鳴る回路と分けて接続することができます。こうしてアンプを高域用と低域用の2系統を使ってスピーカーシステムを鳴らす接続をバイワイヤ接続と呼び、音質に拘るオーディオマニアの間で時折採用される手法です。

こういった当時の最新技術で拘り抜かれたスピーカーもまた、販売価格自体が高額であった事は勿論、中古製品としても優れた性能であることは間違いなく、今現在でも高額買取となるモデルも多数存在します。

 

 

 

スピーカーの高価買取のために注意したいこと


音楽再生において、勿論プレーヤーやアンプの品質は勿論重要ではありますが、最重要はやはりスピーカーと言っても間違いではありません。どんなに良いプレーヤーで音源を取り出し、どんなにいいアンプで綺麗に増幅された信号にしても、スピーカーがそれを魅力的に再生できる能力を持たなければ、良い音楽体験とはいかないでしょう。逆にアンプがスピーカーを活かしきれないことも中にはあるとはいえ、それもスピーカーの性能が良い前提であることもまた事実。
音楽を楽しむために最重要であるスピーカーですが、中古買取の際に気を付けるべきことが多い品物であることは、オーディオ機器である以上プレーヤーやアンプと変わりません。ではどのような点に気を付けるべきなのでしょうか。

まず、スピーカーにおいて絶対に破損してはいけない場所、それは勿論音の出るユニット部分です。
スムーズに振動するようになるべく軽い素材で作られ、その動きを妨げることが無いよう柔らかい素材でフレームに固定されている振動板。その特性からこれらの部分がつついたりぶつかったりしてしまうと繊細で壊れやすいパーツであることは、想像に難くないと思います。中には小さいころ親族や知り合いがオーディオを持っていて、スピーカーの振動板の部分に好奇心から触ろうとしたら怒られた経験をした方もいるのではないでしょうか。
振動板の素材としてまず挙げられるのが紙です。勿論ある程度の固さが無いと正確に振動させられないためある程度丈夫とはいえ、間違って先端の細いものでつついてしまえばすぐに穴が開いてしまいます。また中央のセンタードーム部分やツイーターは破れなかったとしても凹ませてしまうと再び元に戻すのは難しく、発音する機構としては性能も落ちてしまうため中古買取では大きなマイナスポイントとなってしまいます。
買取の為の運搬や整理の際には、触れたり何かをぶつけたりして破損してしまわぬよう、細心の注意を払いましょう。

またこのユニットは、悪環境下での経年劣化にも弱い部分となっています。
特に多いのが振動板の周囲をフレームに固定しているエッジと呼ばれているゴムなどで構成されたリング状の部分。保存環境や単純な経年劣化により硬化し、ボロボロと崩れ落ちてしまいます。このエッジが欠けたり無くなってしまった状態でも音は出る事には出るのですが、ユニット部分における密閉性が無くなり、かつ振動板が安定して前後運動出来ずにぶれてしまいます。その為この部分の欠損、また単純な破れなども買取の際でのマイナスポイントとなります。
加えて振動板自体も紙であれば悪環境でカビや汚れがついてしまうこともありますし、ケブラーなどの繊維でも埃が溜まって繊維の中に詰まってしまうようなこともあります。そうなるとメーカーや張り替え専門業者による交換以外で回復する手段はないため、これもまた大きくマイナスとなってしまいます。
こういった部分が劣化する前に、使わなくなった時点で早めに相談することが、高価買取の1つのポイントと言えます。

そしてスピーカーの破損で多いのはユニット部分だけではありません。接続するためのターミナル部分も間違った扱いによって破損してしまっていることも、中古買取の中では珍しくありません。


一般的なねじ止め方式のターミナルを横から見るとこのような形状になっているのですが、このケーブルを通すためにネジ山の横から穴をあけてある部分は金属とはいえ非常に細くなってしまっており、例えばネジを緩めてケーブルをきちんと外さずに無理に引っ張って力を加えてしまったり、ネジを開いたままぶつけてしまったりすると比較的簡単に折れてしまいます。
ここが破損してしまうとそもそもアンプから接続できなくなり、スピーカーとしての役割が壊滅してしまうため、出っ張っていて誤ってぶつけてしまいやすい部分ではありますが扱いには注意しましょう。ターミナルを持って持ち上げる等もNGです。

また最後に重要になるのが外見の劣化。
主に木製に塗装されている形が多いスピーカーのエンクロージャーですが、音の出る最終段であり、ラックなどに収容されるアンプ等の機器よりも目立つ場所に置かれることが多いため、外見の劣化は他の機器に比べてシビアになってきます。
ぶつけたり引っ搔いたりしてついてしまう傷や凹みは勿論、紫外線の当たる場所に長時間放置してしまって塗装が変色してしまったり、悪環境やアルコール等の薬剤の付着で塗装が荒れてきてしまったり、TANNOYなどの一部のメーカーの商品では木製のアンティーク家具のように定期的にオイルを塗ってケアしないと乾いて劣化してしまうものなど、さまざまな要因によって外見状態が悪化してしまっている品物も、中古買取では珍しくありません。
さらに、ユニット部分を保護するサランネットも、破れたりほつれたりしてしまうともろに聴き手から見える正面部分のため印象は良くありません。
こういった劣化は販売するまでに全く取り返しが付かないわけではない場合もありますが、手間も技術も必要な上、中古のオーディオ機器では修理や交換等なく販売していた時の状態に近い程価値が高い傾向にもあるため、こういった外見の劣化もなるべく少なくなるよう、使わなくなったら早めの問い合わせ、買取までの慎重な取り扱いを心掛けましょう。

音楽や映画、ラジオ、PCやスマートフォンの内蔵部分に至るまで当たり前に目にしているスピーカーですが、それらは繊細で精巧な技術の集合体。
見かけだけでは判断しきれない高額品があることも事実、もしあなたの家に使っていないスピーカーがあれば、一度エコストアレコードに問い合わせてみませんか?

 

 

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